【徹底解説】磁気定期券のメリット・デメリットと活用法

鉄道

【徹底解説】磁気定期券のメリット・デメリットと活用法

この記事で紹介する内容

磁気定期券とは何か。定期券に関する悩みを解決するその意外なメリット、活用法。

磁気定期券とは

磁気定期ってなに?

紙の切符のように改札機に入れて使う定期券のことです。

磁気定期券はテレホンカードやクオカードのような大きさ、材質でできており、紙の切符のように改札機に通して使う定期券です。皆さんのほとんどが普段使っている定期券はモバイルにしろカードタイプにしろSuicaやPASMOなどのICでタッチするものだと思います。おそらく定期券といえばICしかないと思っている方も多いでしょう。しかしICカードが広く普及した今日でも一見使いずらそうな磁気定期も使っている人は一定数存在するのです。

磁気定期券の使い方

改札の通り方

SuicaやPASMOなどのICカード(またはモバイル端末)で定期券を使う場合は改札機にタッチすることで通ることができますが、磁気定期券はタッチしても改札機は開きません。改札機の紙の切符を入れる口に入れることでゲートが開き、出口付近で定期券が出てきます。取り忘れないように注意する必要があります。

買い方

磁気定期券はICカードタイプの定期券と基本的には同じ場所で同じように買うことができます。もちろん通勤定期であれば自動券売機で買うことができますし、継続購入であれば通学定期も自動券売機で購入できます。


磁気定期券のデメリット

磁気定期の基本的な特徴を説明するとデメリットが先に出てきてしまうので先にデメリットをまとめます。後ほどきちんとメリットを紹介いたします。

チャージはできない

磁気定期券にはICカードのようにお金をチャージして運賃の支払いや買い物に使うということはできません。SuicaやPASMOで定期券を買っていれば当たり前にできることですが、磁気定期券はあくまでも指定された区間の中だけで乗り降りできる切符である「定期券」としての機能しか無いのです。

定期区間外も利用した場合は精算が必要

磁気定期券で定期区間外を利用した場合、自動改札機を通ろうとしてもゲートが閉まってしまいます。ICを使っていれば定期券以外の区間のぶん必要になる運賃はチャージされた残高から自動的に引かれますが、上で述べたとおり磁気定期にはチャージされた残高がありません。そのため不足分の精算を有人改札の窓口で行う必要があります。精算機では精算できない場合が多いです。

定期区間内から乗車する場合

最初に乗る駅が定期区間に含まれていれば、乗る駅で自動改札機に磁気定期券を通します。そして降りる駅が定期区間外である場合、精算機または窓口で精算をしてもらいます。このほかに清算の手続きが必要ない場合を後ほど紹介します。

定期区間外から乗車する場合

乗る駅が定期区間外である場合、乗るときに自動改札機に磁気定期券を入れても通ることができません。そのため最初に乗るときは手持ちのICカードをタッチ、または乗車券を買ってそれを改札機に通し、降りる駅で磁気定期券と一緒に窓口で係員に渡して精算する必要があります。

乗車券を買う場合は精算に必要な金額と同じ値段の切符を買っておくのが無難ですが、どちらにせよ降りる駅で窓口に持っていく必要がありそこで追加のお金を払っても手間はそこまで変わらないので一番安い値段の切符を買っておくのも手です。間違えて不必要に高い切符を買ってしまった場合返金は難しいので不安であれば安い切符を買うことをお勧めします。

紛失再発行ができない

ICの定期券であれば紛失した際に手数料を支払えば買いなおさなくても再発行が可能です。しかし、磁気定期券は紛失してしまうと再発行はできずまた新しく買いなおす必要があります。

ICカードでも磁気券でも、鉄道の定期券を購入する場合基本的には名前や電話番号を登録する記名式で作ることになります。磁気定期券でも購入する際にICと同じように名前や電話番号を登録しているのですが、それでも磁気定期券だけ再発行ができません。

この違いは紛失した定期券の効力を止められるか否かが原因です。ICであれば定期券やチャージされた残高の情報が中央のコンピューターで管理されているためコンピューターの操作で紛失した古いICカードを無効にできる一方で、磁気定期はそのようなシステムがなく落とした古い定期券がいつまでも使えてしまい再発行すれば定期券1枚分の値段しか支払われていないにも関わらず世の中に有効な定期券が2枚存在してしまいます。こちらにJR西日本の公式の説明があります。


磁気定期券のメリット・活用法

お待たせしました。磁気定期券には一見デメリットしかないように見えますが、使い方によってはデメリットを十分カバーできるメリットがあります。ICカードが広まった今でも磁気定期を使う人がいるのにはきちんと理由があるのです。

定期2枚持ちにはICカード&磁気定期券の組み合わせが有効

IC定期を2枚持つ場合、次のようなことが悩みの種となります。

  1. 2枚のICカードが干渉して自動改札機でエラーが出てしまう
  2. 気づかずに違う定期をタッチしてしまっていたせいで、本来定期で乗れていたはずの区間の運賃が違う区間の定期がのったICカードの残高から引かれていた
  3. チャージした残高の管理が面倒
  4. 定期区間がつながっているのに乗り換え改札が使えず、少し回り道をして一度片方の定期券をタッチして改札外に出てからもう片方の定期をタッチして乗り換え先の社線に入らなければいけない

意外と面倒なことが多いですよね。

これを解決するのがICカード1枚と磁気定期券1枚の組み合わせです!

ICカードに干渉しない

磁気定期券はICカードを読み取る機械には全く反応しません。そのため財布やスマホケースの中にIC定期券と磁気定期券を一緒に入れていても、タッチして反応するのはIC定期券だけです。これによってICカード同士の干渉を心配せずにすみます。

「どっちの定期を使うか」で間違えにくい

磁気定期券がICカード読み取り機に全く反応しないおかげで、「確かに正しい方の定期だと思ってタッチしたのに実はもう一方のIC定期券が反応していて運賃が気づかないうちに引かれていた」というミスを防ぐことができます

「磁気定期券を使うべきところでIC定期券をタッチしてしまう」というミスも起こりえますが、磁気定期券とICカードでは見た目や持った感触、使い方が全く異なるのでIC2枚持ちよりはるかに気づきやすいでしょう。

チャージした残高の管理が楽

ICカードが2枚もあるとどちらのカードにいくら残っているのか分かりづらくなります。余裕があると思っていたカードで買い物をしようとしたのに残高不足でもたもたしてしまう、という面倒なことは避けたいですよね。2枚ともオートチャージの設定をするなどの方法もありますが、管理するものはやはり少ない方がなにかと楽なことが多いです。

乗り換え改札が使える

違う鉄道会社の路線同士の乗換駅にはたいてい乗り換えのための自動改札機が設置されており、改札を出たり入ったりすることなくスムーズに乗り換えできるようになっています。

1枚のICカードだけを使っていれば何も気にせず一回のタッチで乗り換えができる便利な乗り換え改札も、2枚のIC定期券の区間の変わり目の場合は使うことができず、一度改札口を出て次の路線の改札口までまわり、もう一度カードをタッチして改札内に入る必要があります。自動改札機は2枚のICカードをまとめて処理できないのです。

目の前に乗り換え改札があるのに、遠回りしないといけないのは面倒だな

磁気定期券とICカードの組み合わせにすれば乗り換え改札でも使えますよ!

しかし自動改札機はICカードと磁気券の組み合わせなら同時に処理してくれます。

乗換駅まで使ってきた定期がIC、磁気どちらであったとしても、乗り換え改札の自動改札機にまず磁気定期券を入れ、次にICカードをタッチすることで2枚の定期券を正しく処理してくれます。通り抜けるときに出てきた磁気定期券を取り忘れないようにしましょう。

「磁気定期券を入れる→ICカードをタッチ」で乗り換え改札を通ることができます

[参考]2区間定期

定期2枚持ちの解消の一つの方法として「二区間定期」を作ることが挙げられます。くわしくはこちらの記事をご参照ください。

磁気定期券同士や他の切符と一緒に自動改札に入れられる場合がある

2枚の連続した区間の磁気定期券や、磁気定期券と乗り越した区間の乗車券などの組み合わせで自動改札機に同時に複数枚投入できる場合があります。これができると改札窓口まで行って精算してもらう必要がなくなり便利です。しかし鉄道会社や券の組み合わせによって自動改札機が対応できるかどうかが変わってくるので使えるかどうかは確認が必要です。

各社参考website:JR西日本 阪急 東急 東京メトロ

磁気定期券のほうがお得な場合がある

鉄道の定期券の場合、ほとんどの場合IC定期券でも磁気定期券でも買うことのできる定期券の区間や効力は全く同じです。在来線の定期券を新幹線乗車券として利用する際に磁気定期券のみ可能である区間が地方にいくとありますが、東日本の大都市近郊東海・西日本のほとんどではICでも磁気でも同じように新幹線の乗車券として利用できるようになっています。

しかし、稀に同じ定期券を購入する際に磁気にするかICにするかでその定期の効力に差が生じる場合があります。その数少ない例が東京メトロと都営地下鉄それぞれの全線定期券です。

東京メトロ・都営地下鉄の全線定期は磁気定期がお得

参照:東京メトロ全線定期券 都営地下鉄全線定期券

全線定期券

有効期間内であれば、東京メトロ線内を何度でもご利用できる定期券です。(磁気定期券は持参人、IC定期券は記名人が使用できます。)

東京メトロ ホームページ

【注】全線定期券には氏名の指定がありません。持参人1名に限り都営地下鉄全線が自由です。なお、全線定期券をPASMOに付加する場合は、記名PASMOとなり、記名人のみご利用いただけます。

東京都交通局 ホームページ

全線定期券はその名の通りその会社が運航するすべての路線が乗り降り自由な定期券です。

東京メトロのホームページには「磁気定期券は持参人、IC定期券は記名人が使用できます。」と記されています。また東京都交通局(都営地下鉄)のホームページにも「定期券の種類」の見出しの下に同じような内容があります。何が違うのでしょうか。

持参人が使える」というのは所有者が誰であれその券を持って来さえすれば誰が使っても良いということです。つまり、家族間、友人間、または会社の中などで1枚の全線定期を貸し借りをして利用することが可能だということです。

一方で「記名人が使用できる」というのはカードに名前や電話番号を登録した一人しか使うことはできず、定期券の貸し借りは認められていません。鉄道の定期券のほぼ100%はこちらのタイプです。定期券の貸し借りが判明した場合不正乗車となり最悪の場合かなりの金額の罰金を払うことになります。

要するに磁気定期券で買えば他人との貸し借りが可能になるため定期券を使える幅がより広くなるのです。

デポジットが不要

ICタイプの定期券を新たに作る場合、定期券の代金のほかに新しいICカードのデポジット500円も必要になります。一方磁気定期券の場合はこのデポジットは不要です。

IC定期券に変更できる

磁気定期券は使い始めた後からでもICタイプの定期券に変更することができます(ICから磁気への変更は不可)。ICカードを新たに買う場合はデポジットが必要ですが、手数料なしで変更が可能です。JRや大手私鉄など多くの鉄道会社では自動券売機でこの移し替え操作が可能です。

各社参考website:JR東日本 京急 小田急 京王 

まとめ

磁気定期券単体ではICカードに比べて使い勝手の悪さが目立ちますが、使い方やICカードとの組み合わせによってとても便利に使うことができます。

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